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●詩、小説●

2021-11-18 23:01:15

さくら



さくら。さくら。
呼びかける声がする。
誰?誰なの?
呼びかけてみても、他の返事はない。
さくら。さくら。
「君、読みなさい。」
ハッとすると、授業中で、
私は教科書を読まなければならないようだ。
「32ページだよ。」
小声に、またハッとして、
教科書をパラパラとめくる。

キーンコーンカーンコーン。
皆がほっとした瞬間だった。
皆がカタガタと椅子から離れて、
帰りの用意をする。
私は。…あれはなんだったんだろう。
「どうしたの?ぼーっとして。」
「誰かが呼びかけていたみたい。」
「ああ、先生でしょ?」
屈託なく笑う。
「それより、あなた、誰だっけ?」
「え?」
「クラスにいなかったと思うけどな。」
「私?…桜だよ。」また笑う。
「あなたは?」
「私!?」
「冗談、冗談。忘れたの?」

あれ?覚えていない。
しょうがないなあ。
あなたと私は、桜の木の精でしょ?
ちょっと、からかって生徒していたんでしょ。
もう、気持ち良さげにウトウトしちゃって。
しかも、忘れているし。
さあっと、一陣の風とともに、
彼女と私には羽が生えていた。
そうだったね。思い出したよ。
そうでしょ?
さぁ、行きましょ。
あはは、という笑い声とともに
二人は消えていった。
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